ラズベリー
そして優輝の部屋へ向かおうとしたときだ。
先輩メイドの莉沙<リサ>,奈緒<ナオ>,遥華<ハルカ>が私に言った。
「いい気に
なってるんじゃないわよ。」
「和輝様のメイド、
葵さんに土下座させるなんて、
恐ろしいこと!!」
「これは忠告じゃない。
警告だから…」
完璧に上から目線。
三人ともが腕を組んでいた。
ただそう言って、先輩三人組は去って行った。
(今のが嫌味……)
嫌味なんて初めてだ。
何もしていないのに。
関係無い人に言われるなんて。
(でも、なんか嬉しい!!)
嫌味を言ってくれたことが嬉しかった。
そんな感情を抱いてくれた人は今までいなかったから。
新たな関係性に喜びが感じられた。
3人の言ったことなんてこのときは忘れていた。
そして、このときの美怜には何も分かっていなかった。
嫌味というものを…。
そして人間関係はすごくすごく難しいということに。