ラズベリー
(大丈夫。私は負けない。)
心に誓う。
本当は東宮の力を使ったら一瞬で解決できる話だ。
でも、ここで使ったら終わってしまう気がした。
でもそのことに優輝は全く気付いていなかった。
それから少し日にちが過ぎたある日。
「あら、そこの『濡れ雑巾さん』。
道のど真ん中を
歩かないでもらえる?」
「「「アハハハハ」」」
私は腹が立ち、思いっきり睨みつけた。
「なぁに、その態度。
あなた後輩でしょ。」
美怜は脇腹をドガッと蹴られた。
「くうっ……」
でも、ここには友達もいない。
他の先輩たちもただ見ているだけ。
誰も助けてはくれなかった。
そのあとも何度も何度も蹴られて、殴られて踏み潰される。
「あぁッ…くッ…うッ…」
「あれー、まだ睨むの?」
そこに莉沙が脇腹にきつい蹴りを入れた。
「Dクラスに
媚売ってるんじゃないわよ!!」
「葵様に勝つなんて
本当に空気の読めない奴。」
「あんた向いてないよ。
メイドなんて。」
きつい言葉が私の頭をかき回した。