ラズベリー
その間もずっと、殴る蹴るの繰り返しだ。
ついに唾までかけられていた。
顔がべたべたする。
そして、意識が薄れていく。
廊下が冷たい。
心も冷たい。
気が付けば辺りは静まり返っていた。
「ま、負けない。」
その言葉は本心では無かったかのように、涙が溢れてきた。
「嫌だ。
だれか助けてよ。」
廊下に木霊する。
「い、嫌だ。誰か…」
でもその言葉も虚しく消えていった。
心も身体もボロボロな私…。
いつも助けてくれる彼もいない。
でも、今それぞれが大切な時だった。
頼れる人物もいなかった。
私はボロボロの体、汚れたメイド服を着替えに戻ろうとした。
(たしかこの時間は
優輝は授業よね。)
だから今のうちにと着替えるために優輝の部屋に向かう。
もちろん、誰にも見られないように。