ラズベリー
「…えっ。
床はブラシでこすって
洗わないといけないし。」
声は小さく微かに話す。
莉沙が目の前でしゃがむ。
「何言ってるのよ。
手で洗いなさいよ。手で!!」
「…そ、それは出来ません。」
「生意気なんだよ。」
「掃除はやります。
でも手では洗いません。
いくらなんでも出来ません。」
「うるさいんだよ。その口!!」
パンッ!!
そして美怜の頬を叩いた音が響き渡った。
(か、助けて…)
(ゆ…優輝……)
その時、ガチャっとドアが開いた。
「あら、ごめんなさいね。
掃除中の看板があったんだけど、
我慢出来そうになかったから、
ついね。」
入って来たのは紛れも無く満月だった。
「…み、満月。」
明らかに動揺していた。
当たり前だ。
この状態を見られて、焦る気持ちは…。
「ごめんなさいね。
掃除中に……」
「い、いえ。
失礼します。」
満月はあえてそのことには一切触れることは無かった。
三人組は一目散に飛んでいった。