ラズベリー
「美怜ちゃん、大丈夫?」
「あ、うん。満月、
助けてくれてありがとう。」
満月は手を貸して起こしてくれた。
すると満月はフフッと軽く笑う。
もちろんお上品に。
「本当に無茶する子ね。」
「え?」
「気にしないで。
あと、お礼は私じゃなくて
優輝君に言ってね。」
「優輝…に?」
どういうことか全く分からなかった。
そんな顔をしていることに気付いたのだろう。
いきさつを話してくれた。
「優輝が
あなたを助けることなんて
出来ないから、
私に頼んだのよ。」
「え?」
「あいつ言ったのよ。
トイレに来たふりを
して欲しいだって。」
「アイツが…」
「愛されているわね。」
満月の意外な発言に驚いてしまう。
「そんな事ないよ。」
「ふーん。そうかしらねぇ。」
その時の満月の表情は明らかに楽しんでいるものだった。