ラズベリー
「たしかに、
そういうことかもしれないな。」
「ここからは
優輝様に調べてもらった方が
良いのでは?」
賢斗はそう求めた。
今まではたいてい賢斗が言うようにしてきた。
そして、難しい取引はいつも優輝にさせてきた。
……名前を明かさないまま。
でも、和輝は低く言った。
「ダメだ。」
「なぜですか。
いつもは……」
「あいつは
俺よりも頭が切れる。」
賢斗は和輝の言いたいことを悟ったのか同調して言う。
「そのことは誰も知らない。
知っているのは…
私と和輝様だけ……」
「ああ。だからだ。」
賢斗は頷く。
「あいつに権力は一切やらん。
それにあの子とは
結構、親密みたいだしな。」
「分かりました。
明日は舞踏会もあります。
何か分かるでしょう。」
「そうだな。」
そして、そこにも不適な笑みが垣間見えた。
唇が吊り上がっていた。