ラズベリー


『あなたに
指図されたくないわ!』


『ですが、こちらの方が
大人っぽいですよ。』


『そんなの、
私には似合わないのよ!!』


投げられたドレス。

頭の中でブチッと音がした。


『もう、世代交代です。』


『うるさいわっ!!』


ガシャーーーン!!!


近くにあった壺が粉々になってしまった。


なんてわがままな貴婦人。


沸々と怒りが込み上げてしまった。


頭の中に試験とか、メイド見習いだとか全く忘れて血が昇ってしまっていた。


『生意気ですが、
あの格好だと単なる恥です。』


『もう、いいわ。
私帰りますわ。失礼…!!』


『お嬢様が全く目立ちません。
嫁の貰い手もこのままでは
なくなりますよ?』


わざとらしく対抗する美怜。


『まあ、失礼ね。
そんなことないわ!!!』


ドアに向かっていく貴婦人。

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