ラズベリー
『そのままでいいんですか?
本当に…。せっかくの
婦人の綺麗さが無駄に…』
『……!!』
開きかけたドアがゆっくりと閉められていく。
美怜を見た貴婦人は目が丸くなっていた。
【綺麗】という言葉が心に引っかかったのだ。
(…チャンスだ。
ここで一気に攻めて…!!)
『そのに、イメージが
変わられると旦那様も
惚れ直されると思いますよ?』
『そ、そうかしら…?』
頬を赤らめる貴婦人。
やはり心は乙女のままだったようだ。
『一度でかまいません。
私に任せて頂けませんか?』
『やれるものならば
してみなさいよ!!』
急に偉そうになる貴婦人。
さっきまで嫌がっていたはずなのに。
『必ず、
より美しくいたします。』
『…フッ。任せたわ。』
「───…ということです。」
「なるほどなぁ。奴は
褒められると弱いからのう。」
「そうなんですか。
全く知りませんでした。」
美怜は天然なのか鈍感なのかさっぱり分からない。