ラズベリー
(なるほど。
なかなか読めない奴じゃ。)
クックックッと老婦人は扇を開いて笑っている。
「な、何か
おかしいですか?」
真剣に聞く美怜。
弥生は口を開いた。
「なかなかやるようじゃな。
東宮の娘は…」
「えっ!?」
「ハハハ…
なぜ知っている
というような顔じゃな。」
「………」
「驚きで声まで出ぬか。」
老婦人はまたクックックと笑う。
「さらに言うならば、
私は美怜の名付け親じゃ。」
「えっ!?」
突然のカミングアウトだった。
「ハハハハハ。
面白いのぅ。」
「……///」
「だが、今は
そんなことをしてる場合では
ないのじゃろ?」
ドキッとしたものの何も答えることはなかった。
「ちょっとは
信用して欲しいものじゃ。」
弥生はちょっとすねていた。