ラズベリー


「見て。流れ星!!!」


少女は指で指しながら無邪気に飛び跳ねている。


俺に一生懸命に教えてくれていた。


その指された方向を見た。


「えっ!?」


「もう。早く見ないから
消えちゃった。」


オレンジジュースをすする少女。


そういえばさっきからずっとタメ語なんだけど。


ちょっとした疑問を心の中で感じていた。


すると、いきなり…。


「あっ!?ヤバイ…!!」


「なにが?」


「時間!!!」


時計を見ると、時間は10時55分を指していた。


その少女はかなり焦っているようだった。


「あの、名前ー…」


「ごめんなさい。
私、もう行かないと
いけないから。」


軽く頭を下げてそう告げて、まだ残っているジュースを机に置いて走っていく。


風のように去ろうとする。


この機会を逃がしたらいけないと感じた。


だから優輝は彼女を追った。

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