ラズベリー


桜色のドレスが大きく揺れている。


紅い宝石がきらめいているようだ。


必死に追いかけた。


追って、追って、追いまくって……。


彼女の桜色のドレスは罠にはまっていくかのように、絡んで進みにくくしているようだ。


なかなか思い通りには進まない……。


まるでダークホールにでも吸い込まれているように。


気が付けば舞踏会会場のベランダ下にいた。


星が絶えずに輝く。


そして2人を照らしていた。


本当のシンデレラはここで帰られるのに…。


(な、なんで
追いかけてくるの?)


少女は一度後ろを振り返ってみた。


「待って!!」


大きな声で叫んでいる。


どうして、私なんかを追いかけてくるの?



そして少女の腕をしっかりと掴んだ。


掴まれた腕を引き寄せられる。


思ったよりも力強い。


そして、一瞬のうちに優輝の腕に抱き締められていた。


二度と逃げられないように…。


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