ラズベリー
そのころ優輝は…
庭園で寝転がっていた。
多分、授業をさぼってるのだろう。
「俺が
好きな相手は……誰だ?」
こっちはこっちで随分と頭を抱え込んでいた。
ただ、何かが気持ち悪くて仕方がなかった。
「昨日の女の子、
雰囲気が美怜に似てた。」
きっとこのことが原因に違いない。
決定的なものがないけど、直感した。
「でも、同じ人物は
いないんだよなぁ。」
俺自身の感情がさっぱり分からない。
しっかりしていて、でも所々で弱い美怜…。
逆に明るくて謎めいた桜色のドレスの少女…。
2人が心の中に存在していた。
「でも、
男の勘って当たるのか?」
不意にそんなことを考えていたら、3羽の鳥が空を平行に飛んでいく。
「あいつらも、
なかなか変えられない
関係なのかもな。」
独り言が空に静かに消えた。