ラズベリー


───…それからも、俺はずっと忘れられることは出来なかった。



『彼女はメイド、
でも俺は逢いたい…』



その思いだけで彼は向かった。


彼女のところへ……



『また逢いましたね』



相変わらずの笑顔が目の前にある。


彼は思わず彼女を引き寄せた。



『あの…!』



彼はどうすることも出来なかった。


強く抱きしめた腕が硬くなる。


彼女の身体はとても柔らかかった。



『すみません…』



腕を解き、一目散に去っていった。



「ねえ、長いから
まとめてほしいんだけど」



横からまたちょっかいを入れる。


身体は怒りを表していたが、落ち着かせるために深く深呼吸をする。 



「はいはい、
分かりましたよ」

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