ラズベリー
英理も美怜を追いかけて行った。
だいぶ離れたところまで行き、荒れた息を少しずつ整えるようにゆっくりと歩き出す。
「凄いじゃん!本当に
知り合いだったなんて」
いきいきとした無邪気な顔だ。
「そんなんじゃないよ。
本当に迷子になったのを
助けてもらっただけだから」
「そうかなぁ?美怜もきっと
シンデレラガールになれるよ!」
背中をバンッと叩く。
「バカ言わないで!
アイツなんて、アイツなんて、
大嫌いなんだからーーー!!」
大声が廊下中に響く。
幸い、誰もいなくて助かった。
「何で?」
身を乗り出して聞いて来た。
「うッ!」
「早く言えーー!!」
『呪うぞー』というような勢いだ。
「……それは…その、
香椎様にパンツ見られたの」
美怜は顔を真っ赤にしてかなり小さな声でボソッと言ったのだった。
「えぇぇ!」
「……///」
「ふーん」
そりゃ、避けたいし、嫌うよなぁ。
美怜に対して『気の毒に』って思ってしまった英理だった。
それにしても、優輝様にしては珍しいくらいに意外な素顔、自然な素顔な気がした。