ラズベリー
昨日読んで分かっていた子達は着々と着替えているが、他の子は戸惑っていた。
だって憧れのメイド服はまだ着られないのだから。
「今日は、華道、英語、
ワルツ、料理をしますわよ」
先生の楽しそうな声が耳に突き刺さる。
そして、1限目の華道が始まった。
なんか華道なのに着物でなくてジャージってところが不自然な感じがした。
初めての感覚だ。
花柄のエプロンを着た先生は話し始めた。
「皆さぁーん。まずは、見本をしますが、皆さんの力を知りたいから好きな様にしてみてね」
無意味にウインクされた。
「だから、花もバラバラに組み合わせてるわ。自分の生けたい様にしてね」
たしかに、色とりどりの花がたくさんある。
ゆり、ばら、桃、菊など季節に関係なくいろんな花が用意されていた。
(ふーん、何を選ぼうかな)
赤いバラを見ながら考えていた。
英理はジャージの裾をギュッと握っている。
(華道なんて
全くしたことないのに…
どうしよーーーー!!!)