ラズベリー
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
ちょうどその時だった。
下村 麻衣が私に歩み寄ってきた。
栗色の巻き髪の麻衣さんが少し険しい顔で私の肩を叩いた。
…私、何かしたっけ?
「始めまして。
下村 麻衣と申します。
美怜さんよろしこ」
一言目に言われた古臭い言葉。
……使ってる同学年っていたんだ。
「あ、よ、
よろしくお願いします」
麻衣さんは気にせずに話を進めていくばかり。
「美怜さん凄いわ。
単なる一般人の方ですのに」
顔が無表情のまま言われたお世辞。
強調された『一般人』の単語。
心の奥底から沸々と何かが込み上げているような感じがした。