ラズベリー
美怜は硬直してしまった。
「……はい」
「さぁ、話そうか?」
「…ちゃんと本当のこと
言うけど約束して!!」
「うん」
美怜は念を押して、ゆっくりと英理に顔を近づけ、風に負けないほどの小さな声で話し始める。
「これは約束だよ。まずは、
これからも今までどおり
態度とか絶対変えないでね」
「うん、変えないけど…」
「あと、これから話す事は
極秘事項だから」
「分かったから、早く、早く!」
英理は待てないのか急かすように、美怜のスカートの端を強く握っていた。
「実は……私、私…」
お母さんとの約束、それは破ってはいけないもの。
「もう、じれったいな」
でも……。
大事な友達に嘘はつけない…!
「もう、こういうことは
スパッと言うの!」
「…私、
『東宮の1人娘』なの!」