ラズベリー
勢いをつけて言った私。
だからかなり早口になってしまっていた。
「えっ…!?」
思わず漏れた英理の言葉はその言葉だけだった。
一筋のそよ風が2人の間を通り抜けていった。
英理は何を言えばいいのだろう。
どうすればいいのだろう。
むしろ、言ってる事が分からずに硬直するしかなかった。
「…あのね、
東宮の1人娘なの」
もう一度ゆっくりと言う美怜。
でも、分からない。
一体、どういうことか…。
だって、『東宮の1人娘』は生死をさまようほどの重病な方だったはず。
目の前にいる人は誰なの?
瞬きもしないほど全く動かない英理に言った。
「いきなり…ごめんね」
初めての友達に嘘をついたことをすごく後悔した。
白魚のソテーが残っているまま、その場所を去ろうとした。
「えぇぇーーー!」