ラズベリー
「ククククククッ」
堪えようとしたが無理だった。
「何?」
「別に。な、なんだか、顔が暗いぞ。相談にはのるけど…」
「………」
「言いたくなかったら別にいいよ」
英理は隣に座ってポンッと肩を叩いてくれた。
「…ごめん」
「いいの。待つからさ。でも…」
「でも?」
「これで貸し一個ね。だから代わりに練習に付き合って!」
「…え!?……あ、うん」
いきなりの強引な要求に思わずOKしてしまった。
「よっしゃ!」
そして英理はガッツポーズを天に向けて決めた。
約束通り、2人は日が暮れるまで庭園で今日の復習をすることにした。
「よーし、やるぞ。
美怜先生もいることだし」
「へ?」
「さっき、『うん。』って言ったでしょ?はい、教えて下さい」
「へ?ま、まぁいいけど」
そうして2人の練習が始まった。
もちろん、無我夢中に日が暮れるまで。英単語の発音間違いばかりで変な言葉になっていた。
しかめっ面で言うものだからお腹を抱えて笑っていた。
後ろで誰かが茂みからカササッって音がしていたというのに。