名前も知らない君を

"プシュー"と音を立てて停まったバスは乗らずともわかる、超満員。



大きなため息とともにバスへと乗り込む。18区間、約30分バスに揺られ、私は目的地である、"桜台南高校"へと向かう。




高校に入学して3ヶ月。
季節は夏を迎えている。
のにも関わらず、満員で常に誰かと密着している中、気持ち程度のエアコン。
じわじわと汗がにじんでくる。


私の名前は、
藤田日南子。バスケ部に所属している。
毎日のきつい練習で体力には自信があるけど、この車内での30分はさすがにこたえる。



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