巡り合いの中で
事情聴取の結果次第で、惑星間の交流に響く。
しかしこれは相手側からの一方的な攻撃といっていいもので、此方側に何ら落ち度はない。
だからこれが外交問題に発展するのならすればいいと、セネリオは強い口調で言い放つ。
ただ、その前に細かい情報を集めないといけない。その点で重要なのは、少女の出生地だ。
「今、どちらに?」
「治療中だ」
「怪我を――」
「血を流している」
「血を流しているということは、その者は何か込み入った事情があるのではないでしょうか」
「仲間割れか?」
「……多分」
「それは聞けばわかるだろう」
「果たして、口を……」
ライアスの引っ掛かる言い方に、セネリオが特に問い返すことはしない。
問い返すことはしなくても、この言葉の裏側に隠されている意味は理解できる。イシュバールに攻撃を仕掛けるということは、それ相応の覚悟を持って行っている。
だから彼等は、簡単に口を割らない。
そのように言いたいのだろう、セネリオはライアスの本心を突く。
だが、その表情は一瞬の変化だったのだろう、瞬時にいつもの冷静な一面を取り戻す。
そして口を割らない時は、相手が少女といえでもそれ相応の対処を取らないといけないと、セネリオに進言していく。
「薬か?」
「セネリオ様は、好まないでしょう」
「そうならないように、願うよ」
「お優しいです」
「そうかな?」
「あの者は、犯人かもしれません。そのような者に情けをかけるのですから、お優しいです」
「皆には、内緒だ」
「勿論です」
セネリオが犯人である少女に情けを掛けたと知ったら、周囲はいい顔をしない。
敬意と尊敬を示し、尚且つ過保護に扱っているセネリオに裏切られたと知れば、統率が取れた今の生活が一変してしまう。
だからこの発言は二人だけの秘密にしてほしいと頼むと、少女のもとへ向かった。