巡り合いの中で

 事情聴取の結果次第で、惑星間の交流に響く。

 しかしこれは相手側からの一方的な攻撃といっていいもので、此方側に何ら落ち度はない。

 だからこれが外交問題に発展するのならすればいいと、セネリオは強い口調で言い放つ。

 ただ、その前に細かい情報を集めないといけない。その点で重要なのは、少女の出生地だ。

「今、どちらに?」

「治療中だ」

「怪我を――」

「血を流している」

「血を流しているということは、その者は何か込み入った事情があるのではないでしょうか」

「仲間割れか?」

「……多分」

「それは聞けばわかるだろう」

「果たして、口を……」

 ライアスの引っ掛かる言い方に、セネリオが特に問い返すことはしない。

 問い返すことはしなくても、この言葉の裏側に隠されている意味は理解できる。イシュバールに攻撃を仕掛けるということは、それ相応の覚悟を持って行っている。

 だから彼等は、簡単に口を割らない。

 そのように言いたいのだろう、セネリオはライアスの本心を突く。

 だが、その表情は一瞬の変化だったのだろう、瞬時にいつもの冷静な一面を取り戻す。

 そして口を割らない時は、相手が少女といえでもそれ相応の対処を取らないといけないと、セネリオに進言していく。

「薬か?」

「セネリオ様は、好まないでしょう」

「そうならないように、願うよ」

「お優しいです」

「そうかな?」

「あの者は、犯人かもしれません。そのような者に情けをかけるのですから、お優しいです」

「皆には、内緒だ」

「勿論です」

 セネリオが犯人である少女に情けを掛けたと知ったら、周囲はいい顔をしない。

 敬意と尊敬を示し、尚且つ過保護に扱っているセネリオに裏切られたと知れば、統率が取れた今の生活が一変してしまう。

 だからこの発言は二人だけの秘密にしてほしいと頼むと、少女のもとへ向かった。
< 12 / 161 >

この作品をシェア

pagetop