巡り合いの中で
「結論は?」
「……未開惑星」
「それについては、同意見だ」
「やはり……」
「幾つかの言動が、それを指示している。あの者が暮らしていた世界では、馬車が支流だそうだ」
「馬車とは……馬ですか」
「そうだ」
「馬車は、記録映像でしか……」
「私は、映画で観た」
セネリオの話に、相手はどのように反応していいか困ってしまう。
そもそも馬車を使って生活している世界から、この高文明の世界に来たとなると支障が出てしまうだろう。
ましてや機械を見たことも触れたこともなく、これらを総合して「魔法」と、片付けてしまう。
ある程度、機械文明が発展している世界から来たというのなら、特に混乱を招くことなく生活を送ることができる。
見知らぬ物が溢れるこの世界、これから驚きの連続が待っている。
驚き疲れて倒れなければいいが――と、セネリオはアリエルの身の心配をしてしまう。
「でしたら、宇宙(そら)に上がったら……」
「腰を抜かすな」
「ですね」
「いや、その前に宇宙という概念を持っているかどうか怪しい。天動説、地動説……懐かしい」
「状況からして、天動説でしょう」
「それの説明は面倒だ」
「大地は平面で、海の先は滝壺で……」
「ああ、昔の者の考えか」
これらの話にセネリオは、惑星の概念以上にアリエルの世界は自分達が暮らしている世界の正確な地図の作成ができているのか、気に掛かる。
勿論、自国の地図だけではなく他国の地図も含まれるが、複数存在する国同士のバランス関係がわからないので何とも言えない。
「調査は、いかがいたしますか?」
それについて、セネリオは即答を避ける。
本当であったらアリエルの暮らしていた惑星(ほし)を捜してやるべきだが、いかんせん手持ちのデータが足りない。
未開惑星の成分が手に入ればいいのだが、下手に調査の手を伸ばすと周囲から何を言われるかわかったものではない。