巡り合いの中で
彼女は、未開惑星の住人かもしれない。
その発言に、誰もが驚きを隠せないでいた。
スパイ疑惑が掛けられ、家電を破壊したことにより破壊工作員かもしれないと言われてしまう。
しかしアリエルは機械の使い方を知らなかったので、破壊をしてしまった。
それに高文明で生活しているとは思えない発言の数々と、付着していた土の成分がデータと一致しない。
あらゆる点を総合し、そのように至った。
だが、すぐに信用しなくていい。
そう、最後に付け加える。
曖昧な言い方をしたのは、個々の判断に委ねようとしたからだ。
一方的に締め付ければアリエルへの風当たりが強まってしまうので、自分達の目で正しい判断を下せばいい。
そのように考えたからこそ、セネリオはそのような言い方を行った。
勿論、彼等を信頼しているからこその結論である。
その中で、唯一別の反応を見せていたのはアリエル。
セネリオが言う「未開惑星」の意味が全くわからなかったのだろう、キョトンっとした表情を浮かべつつ首を傾げていた。
彼女の反応に周囲にいた者は「本当かもしれない」と思いつつも、多少の不信感は残っていた。
そして――
懸命に使い方を覚えようと努力するが、機械を知らないアリエルが瞬時に飲み込めるわけがない。
それどころか、イシュバールで使用されている文字が読めないことが判明する。
それを知ったセリナが彼女に文字を教えるが、破壊されてはいけないとパソコンは使用しない。
手作りの教科書に、ノートと万年筆。
それらを持ち入り、侍女の仕事の後即席の勉強会が開かれる。
難しい。
それが第一の感想であったが、この世界に溶け込まないといけないので必死に覚えていく。
彼女の努力する姿に、真っ先に好意的な印象を抱いたのは仲間の侍女達。
いつの間にか勉強を手伝うようになり、そのお陰で徐々にであったがイシュバールで使われる言語を覚えていった。