巡り合いの中で
出現した少女――
この話は一気に拡散し、口々に噂を語る。
少女は、何者?
家出。
まさか、情報スパイ。
憶測が新しい憶測を次々と生み出し、いつの間にか「謎の少女」の話題でいっぱいになる。
誰もが少女の正体を予測していくがどれもが決定的なモノではなく、噂話は尾鰭が付く始末。
そして少女が出現したとされている部屋に向かう途中、若者の耳に多くの話が届く。
しかし若者の姿を見た途端、少女の噂話をしていた者達は廊下の隅に避け、背筋を伸ばし恭しく頭を垂れる。
彼等の反応に若者は反応を示すことはせず、無表情で目の前を通り過ぎるが、何か思うことがあったのだろう脚と止めると「ライアスを呼んで欲しい」と、頼む。
若者の命令に従い、数名の者がライアスを呼びに向かう。
それを確認した後再び歩みを進めると、少女がいるとされる部屋へ急ぐ。
知られざる少女との対面は、その後に何が待っているのか今の若者に気付いていない。
勿論、この話題に盛り上がっている者達も知らない。
この瞬間、混じり合った運命が動き出す。