巡り合いの中で
「それより、順調?」
「お仕事ですか?」
「そう」
「機械は……難しいです」
「仕方ないよ。アリエルは、機械が存在しない世界の住人だった。そういえば今日も、派手に……」
「……申し訳ありません」
「いいよ」
「その……なかなか……」
「そのあたりは、ゆっくりと覚えていけばいいよ。で、毎回の爆発で怪我はしていないよね?」
「だ、大丈夫です」
「それなら安心だ」
怪我の心配をしてくれるセネリオに、アリエルは礼を言うしかできなかった。
彼女の素直な反応にセネリオはクスっと笑うと「侍女の心配をして悪いのか?」と、逆に聞き返してくる。
また、彼女達の存在は大きく結構世話になっているので、心配するのは当たり前と説明する。
「皆、優しいです」
「最初は、ギスギスしていたね」
「今は、わかって頂き……」
「同性同士は、仲良くなるのが早い」
「クレイドは……」
「ライアスとは、仲がいい」
「ライアスさん?」
「アイスブルーの軍服を着て、側にいた人物」
「あの方……でしたか。このようなことを聞いて失礼とはわかっていますが、ライアスさんは同じ仕事をしているのでしょうか」
「いや、あいつは軍人だ」
「軍人」という単語が理解し辛いのか、アリエルはキョトンっとしている。
彼女の反応にセネリオは「兵士だよ」と言い換えると理解したのだろう、納得する。
同時にどうして常にセネリオの側にいて、出会った当初鋭い切っ先のような視線を向けていたのか理解できた。
護衛――それが、ライアスの役割。
何も知らない状況とはいえセネリオに失礼な振る舞いをしてしまい、その結果彼の機嫌が相当悪かったことを覚えている。
それが影響し最悪な状況に至らなかったのは不幸中の幸いで、セネリオが側にいなければ大事に発展していた。