巡り合いの中で

 ただ、その中で見付けたアリエルという少女。

 未開惑星の住人ということもあって話に差が生じてしまうが、出会った異性の中で一番付き合い易く話し易い。

 ライアスとまではいかないが、堅苦しさを感じないのが本音。

 だからこそアリエルを引き留め、会話を楽しむ。

「休憩って、長い?」

「いえ、それほど……」

「外へ行かない?」

「外?」

「そう、甘い物は好き?」

「好き……です」

「なら、行こう」

「ですが、休憩時間が……」

「断ればいいよ」

「何と申したら……」

「ああ、そうか」

 アリエルに掛けられている誤解はある程度解けているが、だからといってまだ完ぺきではない。

 それに見習いの立場である彼女が好き勝手に出歩くのは論外で、侍女長のセリナから何を言われるかわかったものではない。

 アリエルの話にセネリオは考え込むと、自分が説明すると言いだす。

「宜しいのですか?」

「甘い物、食べたいだろう?」

「……はい」

「なら、心配しなくていい」

「ご、護衛は……」

「ライアスは今、訓練中だよ。だから、此方の都合で勝手に呼び出すのは……結構、気が引ける」

「他の方は?」

「他……ねえ」

 セネリオの話ではしょっちゅう外へ出掛けているので、顔見知りが多いという。

 それ以上にプライベートまで護衛に付き纏われると気分が落ち着かないと、苦笑しつつ話す。

 気の知れたライアスなら問題ないのだが、他の者達は堅苦しくとっつき難いのが難点だと評する。

 だからといって彼等を信頼していないわけではなく、惑星外に出る時は彼等の力を素直に頼る。

 ただ、今回はプライベートなので、護衛を付けないで自由に甘い物を食べたいらしい。

 それにいつも気を張って仕事をしているアリエルにも、たまの気分転換は必要だと話す。
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