巡り合いの中で

 ふと、セネリオは思う。

 今後、アリエルはどうするのだと――

 このまま故郷の惑星(ほし)が見付からなかった場合、アリエルはイシュバールに居続けるのか。

 侍女として生活に溶け込みつつある今、セネリオにしてみればそれで構わないと思っていた。

 何よりライアス以外でこのように話し易い人物は少なく、一緒にいて面白いという感覚を持つ。

 しかし、強制はできない。

 また、未開惑星といえでも、きちんと故郷に帰してやらないといけない。

 それに「早くレナ姫に会いたい」と明確に言っているので、この願いを叶えてやらないといけない。

 だが、心の片隅に何か重く鋭い物が引っ掛かっていることを、セネリオは微かに気付いていた。

 言葉が見付からないセネリオは、止まっていたチョコレートパフェを食べはじめる。

 美味しそうに食べている姿に触発されたのか、アリエルも黙々と食べていく。

 そして互いのチョコレートパフェの全てが胃袋に納まった頃、長い沈黙に耐え切れなくなったアリエルが口を開く。

「あ、あの……」

「何?」

「女の方は、丈の短いスカートを穿かれるのですね」

「いきなり、どうした」

「お店に来る途中で、多くの女の方とすれ違いました。多くの方が、丈の短いスカートを穿かれ……」

「あれが、ファッションだから……としか言えない。女のファッションについては、詳しくない」

「やはり、穿かれた方が……」

「アリエルの世界には、短いスカートはないのか」

「あのような物を穿くのははしたないことで、ですので……普通に穿いているのを見て、驚きました」

 アリエルの話に失礼だとわかっていたが、セネリオは反射的にスカートの丈に視線を向ける。

 今、彼女が纏っている侍女服の丈は普通の服より長いが、確かにアリエルが丈の短いスカートを穿いている姿は見たことがない。

 ファッションに興味がないのかと考えていたが、理由を聞きセネリオは納得する。

「年齢は?」

 唐突な質問に、アリエルは瞬時に返答できないでいた。

 するともう一度「年齢は?」と、聞かれる。その質問に対しアリエルは、自身の年齢が16歳ということを伝える。

 彼女の年齢を聞いたセネリオは明後日の方向に向いて考え込むと「勿体ない」と、微かに呟いていた。
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