巡り合いの中で

 勿論、事の顛末を全てアルジャーナ側に伝えるが、相手はいい反応を示さない。

 ガルシアは大臣として優秀だったが、まさか生身の肉体を捨て機械と同化するとは考えられなかったのだろう、それでもガルシアは大臣なのでイシュバールに迎えを向かわすと約束してくれた。

 妻リリアの処遇は――

 イシュバールが手を下すわけにはいかないので、彼女はガルシア共々アルジャーナの者に引き渡す。

 必要以上の干渉はしない。

 だから、この方法を取る。

 アルジャーナに連絡し終えたアゼルは、盛大な溜息を付く。

 今まで数多くの依頼をこなしてきたが、夫婦喧嘩に巻き込まれ、尚且つ愛人問題が関わる話は一度としてない。

 その結果、科学者達は肉体というより精神面の疲労が著しく、中にはとんでもない依頼と嘆く者もいた。

(これで……)

 ガルシアとリリア夫婦の問題以上に、息子が悪い認識をしないことが心配だった。

 結婚生活はいい面だけではなく悪い面も存在するが、彼等の場合夫婦生活は冷え切り、特にリリアは愛人を作っていた。

 それを目の当たりにして、ますます結婚を嫌がるのではないか――

 と、アゼルは危惧する。

(本当に……)

 親の心子知らず。

 まさに、この言葉が適切だった。

 息子の将来を嘆いていると、一人の科学者がアゼルのもとへやって来る。

 何でもセネリオを捜しているらしいが、見当たらないという。

 また、通信も切ってあるので、連絡が取れないと話す。

「先程まで、ご一緒だったかと――」

「逃げた」

「に、にげ!?」

「だから、行先はわからない」

 アゼルからセネリオの行き先を聞き出せなかったことに、科学者は肩を落としてしまう。

 落胆している部下の姿にアゼルは、自分が代わりになるのなら代わりに仕事を行っていいと申し出る。

 アゼルからの突然の提案に相手は間の抜けた声音を発してしまうが、まさに天の助けといっていい。

 科学者はアゼルにセネリオに相談しようとしていた内容を説明し、適切な回答を求める。

 それについてアゼルは暫く考え込むがいい回答が見付かったのだろう、丁寧に説明していく。
< 80 / 161 >

この作品をシェア

pagetop