巡り合いの中で

 アリエルは、一体。

 余程難しいのか、セネリオは唸り声を発する。

 最初は破壊工作員かスパイと勘違いしてしまったが、今はその容疑も晴れている。

 侍女仲間からの評判も良く、仕事も率先してこなす。

 高い文明に慣れていないので家電類を破壊しているが、懸命に努力をし続けていることをセネリオは知っている――と、ライアスに話す。

 その話から至った結論は「面白い人物」というもの。

 ライアスが期待していたモノとは違う回答に、顔を顰めながら項垂れるしかできない。

 また、この回答を多くの者達が聞いたら一斉に嘆き悲しむだろう。

 初恋経験が無く、尚且つ恋愛が疎いことをライアスは知っていたが、まさかこれほど重症だったとは予想外といっていい。

「そう……でしたか」

「いけないのか?」

「い、いえ」

「その言い方が、気になる」

「では、正直に申します」

 ここで隠しても得策ではないと判断したのか、ライアスは正直に何を考えていたのか話し出す。

 異性と何処かへ行くのだから、好意を持っているのではないか。

 と、尋ねる。

 ライアスからの言葉にセネリオはいまいち理解できないのか、キョトンっとしている。

 これまた悪い反応にライアスは頭痛を覚えるが、このようなことで諦めるわけにはいかない。

 イシュバールの未来の為。

 と周囲は話しているが、ライアスは別の部分でセネリオを心配していた。

 ライアスは将来を約束している彼女がいるので、いずれ一緒になるつもりであった。

 しかしセネリオは特定の人物がいないので、下手をすれば一生独身のまま。

 友人として幸せになって欲しいからこそ、厳しい言葉を言い放つ。

「ライアスは、彼女とは?」

「俺は、一応上手く……」

「彼女って、いいもの?」

「相手の為に、頑張りたい――という感情は持ちます」

 ライアスの言葉に、セネリオは理解し辛いのだろういい表情をしていない。

 そもそも異性と恋愛関係になるより、趣味に没頭する方を選んでしまう。

 だが、年齢と立場を考えればそれでいいはずがなく、見合いを何度も断っている今、好意を持つ人物がいるのなら一緒になってほしいと願う。
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