巡り合いの中で
「暇かなって」
「一応、暇……です」
「なら、何処かへ行かないか?」
「何処か……ですか」
「暇潰しの散歩」
「それでしたら……」
「一緒に行くのは嫌だ?」
「い、いえ」
「なら、いいだろう」
セネリオの言葉に押され気味のアリエルは、思わず頷いてしまう。
アリエルが了承してくれたことが嬉しかったのだろう、セネリオの表情が綻ぶ。
しかし不安がないわけでもなく、アリエルは今飼育しているミーヤを一匹にして大丈夫か、後方が気になって仕方がない。
オドオドとしているアリエルの姿から、セネリオは何かを隠していると察したらしく、彼女の私室を覗き込もうとする。
セネリオの行動にアリエルは悲鳴を上げると、両腕を広げ壁を作る。
「どうした?」
「な、何でも……」
「何か、隠している?」
「そんなことは、ありません」
ミーヤを発見されてはいけないと、アリエルは必死にセネリオの侵入を拒む。
だが、人間拒まれると立ち入りたくなるもので、セネリオが抱く不信感はますます強まっていく。
ふと、いい言い訳が思い付いたのだろう、アリエルは「女性の部屋に勝手に立ち入るのは失礼」と、言う。
「ああ、そうか」
「そうです」
「昔、ライアスに言われたな」
「入ろうとしたこと、あったのですか!」
「一歩手前で、止めた」
「男性に見られたくない物もありますので、できましたら立ち入る時は……一言、お願いします」
「わかった」
アリエルはセネリオに用意するので待ってほしいと頼むと、いそいそと部屋の中に戻る。
真っ先に向かったのはミーヤのもとで、大人しく待っていたことを褒めるように頭を撫でてやる。
だが、ミーヤと長く遊んでいるわけにはいかず、出掛けるので外に出てはいけないと言い聞かす。