不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
体はまるで誰かに引きずられるように水中に沈んでいく。

息ができなくて、だんだん苦しくなる。

周囲はまっ暗で、今自分が目を開けているのか閉じているのかすらわからない。


助けて……。
助けてよ、卓巳君。
苦しい。
私をここから救って……。


必死でもがいて手を伸ばしたら、誰かが私の手を掴んでくれた――。



「――ちゃんっ! 萌香ちゃん!」


大好きな声がして、ゆっくりと瞼を開けた。


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