不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「……卓巳君」

「大丈夫? 怖い夢でもみてた? なんかうなされてたみたいだけど」


目の前には心配そうな表情をしている卓巳君。

私は卓巳君に握り締められている右手をそっと見た。

夢の中で手を掴んでくれたのは卓巳君だったんだね。


「涙出てるし。子供みてぇ」


卓巳君はクスクス笑いながら、私の目尻を指で拭ってくれた。


「私ずっと眠ってたの?」

「いや、ほんの五分ぐらい。けど、マジびびった。風呂ん中で倒れるんだもん」

「ごめんね……。卓巳君がここまで運んでくれたんだ」


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