不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
私は床に這いつくばっている彼女に言った。


「えっ? でも……」

「あのっ。ホントにいいんです」


もうこれ以上この場にいたくなくて、まだしゃがみこんだままの和美さんに背を向けた。

いつのまにそばに来ていたんだろう。

目の前には沙耶がぼう然とたたずんでいた。

その表情は堅く、どうしたらいいかわからないという感じだった。

きっと私も今、同じような顔してるんだろうな。


「いこっ」


沙耶の腕を掴んで歩きだした。


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