不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「かなうわけないよぉ。卓巳君が彼女を本命にするのも当然だよ。お似合いだよ……」


天使のような女の子。

あんな笑顔を見せられたら誰だってそう思ってしまうだろう。

あんな姿、見たくなかった。和美さんが意地悪な人だったほうがまだマシだ。

嫌いになれたら、どれほど楽だっただろう。


「……私、まちがってたのかな。2番目でいいなんて、悲劇のヒロインになりきって言ってたけど。それって、まちがってたのかな」

「萌香……」


信号が青に変わり、通り過ぎる人が私達をチラチラ見ていく。でも、私の涙は止まらなかった。


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