不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「ここ座っていい?」


私達が返事をする前に、優一君は沙耶の隣のイスに腰かけた。

その流れで、私の隣には自然と卓巳君が座った。


「なになに~? なんの話してた?」


優一君がテーブルに身を乗り出して、私達に尋ねる。

だけど沙耶は、頬杖をついてそっぽを向いたまま「別に……」と答えるだけだった。


「うわっ。テンション低っ」


優一君はなんとかこの場の空気を変えようとしているのか、わざとおどける。

でも確かに、このムードはいたたまれない……。

とりあえず話題を探そうと、私は卓巳君に声をかけた。


「今日は、早い時間に終わったんだね」


今は夕方の五時頃。こんな時間に卓巳君に会えるのはめずらしい。


「んー……」


卓巳君はいかにも眠そうに目をこすっている。


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