不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
代わりに答えてくれたのは、優一君だった。


「ちがうちがう、こいつ昨日から研究室に泊まりこんでて、今、徹夜あけでようやく出てきたところ。飯食ったらまた戻るんだってさ」


ええっ。ということは、かれこれ何時間眠っていないんだろう。

卓巳君の体が心配だよ。


「卓巳は王子様だから、イブは、忙しいんだよねぇ。それで今頃、焦ってんだよなぁ。つか、お前、エンジンかかるの遅すぎだって」

「うっせ。お前、余計なこと言ってんじゃねぇよ」


――ドカッ。

テーブルの下で、優一君の足を卓巳君が蹴飛ばしたような音がした。


「いてぇ」


優一君は顔をしかめて痛そうな表情をしている。


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