不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版

* * *

いつもよりにぎわいを見せる商店街を通る。

どこからか流れてくるクリスマスソングや、華やかな飾りつけのせいかな。行き交う人みんなが幸せそうに見える。


小さなケーキ屋さんの前で足を止めた。

有名パティシエの作る洗練されたケーキというよりは、昔ながらの素朴な味わいの手作りケーキが並ぶような、そんなお店。

なにかに引き寄せられるように、自然とそのドアを開けて、中に入った。


「いらっしゃいませー」


店員さんからにこやかな笑顔を向けられ、私はショーケースに近づく。

上段には、生クリームやチョコレートでデコレートされたホールケーキや切り株風のクリスマスケーキが並んでいた。


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