不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「ありがとうございました」


店員さんの声につられて顔を横に向けると、私と同い年ぐらいの女の子が箱に入ったケーキを受け取っているところだった。

隣には彼氏らしき人がちょっと気恥ずかしそうに立っている。

彼女はケーキを彼氏に持たせると、自分の腕を彼の腕に絡ませた。そして、とろけそうな笑顔で彼氏におねだりしている。


「あとは……シャンパンと、チキンもね」


きっとこれからふたりでパーティーでもするんだろうな。

大好きな人と過ごすクリスマスイブ。

シャンパンで乾杯して、ケーキにロウソクをともして。それでプレゼントを交換したりするんだろうな。

想像するだけでくすぐったくなっちゃうぐらいベタなシチュエーションだけど、そういうの、ちょっと憧れる。


< 147 / 277 >

この作品をシェア

pagetop