不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
合コン
* * *
「……萌香ちゃん? 話、聞いてる?」
「え? あ……ごめんなさい」
優一君の声にハッとして顔を上げた。
夜になって、優一君主催の合コンに参加していた。
隣に座っている優一君は一瞬呆れたようにふぅとため息をついて、タバコを持つ手で眉のあたりをポリポリと掻いている。
「大丈夫? なんか、さっきからずっとぼーっとしてるみたいだけど。楽しめてないんじゃない?」
「そ、そんなことないよ!」
ワインの入ったグラスに手を伸ばした。
そんなことない、なんてウソ。
ホントはさっきから楽しいなんて感情はどこにもなかった。
少しでも気が紛れるかと思って来てみたものの、正直もう、合コンなんてどうでもよかった。