不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
涙と一緒にあふれ出た気持ちはもう、止めることができない。


「好き……好きなの……。卓巳君が好き、好き」

「うん、うん……」


卓巳君は優しく髪を撫でながら、何度もうなずいていた。


「萌香ちゃん……」


頭上から名前を呼ばれ顔を上げると、卓巳君と目が合った。肩を揺らせてクスクス笑っている。


「大胆な告白、すげぇうれしいんだけど。オレら、超、注目されてる」

「え?」


慌てて周囲を見渡す。

確かに、歩道にいる誰もがこちらを見ていた。

さりげなくチラチラ見ている人もいれば、立ち止まってあからさまに様子をうかがっている人もいる。

考えてみれば当たり前だ。

道のまん中で抱き合って、座りこんで。

おまけに、私は泣きながら「好き」って言いまくりだし。


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