不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「きゃ……」

「プッ。相変わらず隙だらけ」


両手で私の顔を包みこんで、じっと見つめる。ほんの少し傾いた卓巳君の顔が近づいてくる。

なにをされるかなんてわかってる。

チュって唇がふれた。


「卓巳君……好き」

「うん……」


もぉ、信じらんない。人前でこんなことするなんて。

でも、卓巳君のくちづけは媚薬みたい。

熱くてとろけそう。なにも考えられなくなる。


人前であることも忘れて、卓巳君にされるがままになっていると……。


――キィイイイイイ。

すぐ脇の車道で、車が急停止した音が響き渡った。

同時にドアが開かれる。

誰かがその車から降りたのか、カツカツという足音が響く。


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