不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
キスされながらも、その音のほうへ視線を動かす。

信じられない光景に私は目を見開き、慌てて卓巳君から体を離した。


車から降りてきた人物は、すごい勢いでこちらに向かってくる。

顔はまっ赤で、怒りを通り越して、興奮しているようだった。


やがてその人は私達のすぐ横で立ち止まった。


「あ、やべ」


卓巳君は顔をしかめる。

その人は彼の耳をひっぱり、大声で怒鳴りつけた。


「信じらんないっ! こんなとこでなにやってんのよっ!」

「いてっ。マジでやめろって……和美!」


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