不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「まったく。みんな、心配してたんだからね? 勝手に抜け出すなんて。自分の立場、全然自覚してないでしょ」

「ああ。悪かったよ」


背後で交わされる、和美さんと卓巳君の会話。

みんなが心配してた?
勝手に抜け出す?

卓巳君はやっぱりどこか具合が悪いのかな。


「あの……」

「じゃ、行きましょうか?」


和美さんはポンと私の肩を叩くと、自動ドアから中に入っていった。


結局、頭の中にある疑問を言葉にすることはできなかった。

なんとなくだけど、卓巳君も答えてはくれないような気がする。

卓巳君と私は、和美さんの後を追うように病院の中に入っていった。


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