不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
そこは大きなホールのような部屋だった。

パイプイスが整列した状態で置かれている。

ざっと見たところ、縦横ともに15列ぐらいは並べられているんじゃないかな。

中央には花道のように幅1メートルほどの通路が設けられている。即席で作られた客席といった感じ。

そこにはすでに多くの人達が座っていた。

パジャマ姿の人もいれば、私服の人もいる。

おそらくこの病院の入院患者とその家族なんだと思う。

そしてホールの前方には1段高い段差があって、ステージのようになっている。


「んー。もう席空いてないなぁ。残念。近くで卓巳の困った顔見たかったのに」


和美さんはホールを見渡して、楽しそうにはしゃいでいる。


「しょうがないか、時間ギリギリだし。じゃ、立ち見で悪いけど……」


和美さんに背中を押され、ホールの一番うしろの壁際までつれていかれた。


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