不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
アポロチョコの秘密
* * *
卓巳くんの部屋で、私達はベッドの上で向かい合って座っていた。
「はい。バンザーイ」
卓巳君がニッコリ笑う。
『バンザーイ』だなんて、まるでお母さんが子供に言うみたい。
私は言われるがままに、両手を上に上げる。
タートルネックのセーターは卓巳君によってまくり上げられていく。
スポンと顔が出た瞬間、キスをされた。
「もぉ……」
恥ずかしくて、ツンと口をとがらせて睨む。
「嫌だった?」
余裕しゃくしゃくの表情で、悪びれる様子もない卓巳君。
「嫌じゃない」
私の答えに満足そうな笑みを浮かべてる。
たしかに嫌じゃない。だけど、マイペースな彼にいつも私ばかりドキドキさせられてるみたいでなんか癪だ。