不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
キスして?

見つめ合ったまま、声には出さずに唇を動かしてつぶやく。


「なに?」


わかってるくせに、わざと知らんぷりする卓巳君。


「もう……」

「どうしてほしいの?」

「わかんない……」


はずかしくて言えない。

自然と涙腺が緩んで、また目が潤んできた。


「言わなきゃわかんないよ?」

「……いじわる」


涙目で睨みかえす私の耳に、卓巳君はクスクス笑いながらキスをしてくれた。


「だから、その目がヤバいんだって……」と、甘く囁きながら。


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