不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
卓巳君の手がピクンと止まる。


「卓巳君……?」

「悪い……腹へったぁ」

「プッ」


私達は同時に吹き出した。


「そういや、オレ、病院抜け出したから、夕飯なんも食ってないんだった」


体を起こし、お腹をさすっている。


「そうだったの? なにか買ってくればよかったね。あ……そうだ!」


私はベッドから降りて、壁にかけてあったコートのほうへ向かう。

ポケットを探ると、中に入っていたものを手にして、またベッドに戻った。

そして彼の目の前に差し出す。


「あ、アポロチョコ」

「うん。今日、商店街でもらったんだ。これでよかったら食べる?」


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