不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
――カタカタカタ。

静かな部屋にパソコンのキーボード音が響く。

ふいに画面の文字がかすれて見え、目をしばたたかせた。

卓上時計を確認し、想像していたより時間が経っていたことに驚く。

やべっ、もうこんな時間か。いったん休憩挟むか。


イスに座ったまま、腕を突き上げ伸びをする。

それから首をコキコキと鳴らした。

ぶっちゃけ、疲れてます、はい。


オレ、関口卓巳は社会人二年目。

大学を卒業後、電子部品メーカーの設計部門で技術者として働いている。


今日は日曜。

休日を返上してまで、持ち帰った仕事をこなしているオレは、どこからどう見ても立派な社畜だ……つーのは冗談。

決して楽ではないけれど、自分が興味を持てることを仕事にしているオレは、めぐまれてると思う。

やりがいも感じてるし、充実した日々をすごしている。


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