不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「んっ……」


眠っている萌香から声が漏れる。

すげー幸せそうな顔してる。

そういや、今日は布団も干してくれてたな。

萌香はいつも干した布団を取り込むと、そこに顔をうずめて言う。

『お陽様の匂いがする。私、こうしてるとき、すごく幸せなの』って。

今も眠りながら、そんなことを感じてるのかもしれない。


窓辺から差し込む西日がちょうど彼女のいる場所を照らして、そこに陽だまりができている。

色白の頬が桃色に染まってる。たんぽぽみたいな色のニットの肩が、彼女の寝息に合わせてほんの少し上下する。

11月だというのに、ここだけ春の陽気に包まれているみたいだ。

ポカポカと暖かくて、幸せの象徴みたいに見える。


今この目に映ったこの光景を大切にしたい。そんな気持ちが湧きあがってくる。

オレはそっと窓をしめてから、彼女のそばにしゃがみこんだ。


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