不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
いったい優一君が私になんの用があるんだろう。

不思議に感じながらも、スマホを受け取り耳にあてる。


「もしもし?」


すると、少し間があって……。


《あ……萌香ちゃん?》


聞き覚えのある声がした。


「卓巳君?」

《ああ、うん。今、優一といんだけど、電話替わってもらったんだ。オレの声、すぐわかった?》


わかるよ……。

低くて優しい声。

昨日、何度も私の耳もとで甘く囁いてくれた声。


思い返すと頬が熱くなる。

もう二度と関わることなんてないって思ってたのに、声を聞けただけでもすごくうれしい。


《……萌香ちゃん?》

「あっ、あっ、ごめんなさいっ!」


私ったら、ボーっとしちゃってた。


《ははっ。なんで謝ってんの?》

「え? そうだよね……なんかごめんなさいっ……あ……あれ?」


ああああああ。
もうやだぁ。


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